無料貸本屋に変わり果てる図書館


「図書館は無料貸本屋か?」という課題は、もうずいぶん昔から議論されていて、
2018年には、文藝春秋社の松井清人社長が全国図書館大会の席上において、
文庫本の貸し出しを中止を訴えたことや、

2015年に開催されたシンポジウム「公共図書館は本当に本の敵?」
など、さまざまな場所で議論されています。

図書館は著作者の権利に配慮し、運営を行うことはマストだと考えます。

しかしながら、著作者から図書館の姿勢に関する批判の声が上がることもままあります。

2013年、札幌市立図書館がベストセラーの寄贈を市民に訴えかけた際には、
『鴨川ホルモー』や『プリンセス・トヨトミ』の作者である万城目学氏は、Twitter上で、

図書館が予算内で本を購入し、それを市民に貸すのはまったく問題ないのです。要望が多いからと、タダで仕入れて、タダで貸すのはやめてほしいと言っているのです。そりゃ市民はよろこぶだろうけど、それは偽りの正しさで、本当に正しいのは「待てない方は御自分で購入を」と言うことです。

万城目学Twitterより

と発言しており、個人的には「ごもっとも」と思ったものです。

では、なぜこのようなことが起きるのかということをちょっと考えてみると、以下のような感じかなと思っています。

1 図書館職員の知識不足
 中小自治体の公共図書館の多くは、図書館職員を育成する環境が整えられていないことがままあります。
 結果として、図書館=本を貸す所という認識のまま、図書館の運営がされている。

2 利用者からの苦情対応
 図書館では、ベストセラーにはリクエストが集中します、半年待ちなんていうのもザラだったりするのですが、
 いざ待つとなると、もっとその本を買えばいいじゃないか、という話になります。
 すると、結果として複本が増えていく・・・
 これも、結果としては、複本を増やすことが著作者の利益を制限することにつながることに図書館職員が気づいていないことが、問題なのですが・・・

図書館は自治体の1機関ですから、組織全体の中での制約があることも事実です。
財政難の中、図書費は減少する一方、そんなな中で利用者の満足度を高めるために手っ取り早いのは、
ベストセラーの本の回転率を上げることというのも理解できます。

とはいえ、図書館としての役割は「貸本屋」ではありません。
市民に対して、書籍をはじめとした各種メディアを提供することにより、世代間を通して文化の継承、発展に 寄与する社会的記憶装置であり、共時的には、社会における知識や情報の伝播を円滑にするコミュニケーションの媒介機関です。

たとえ、市民からの苦情があったとしても、丁寧に説明し、図書館の役割について理解してもらう必要があります。
図書館の役割を理解し、運営する人材がいないと、図書館はただの無料貸本屋になってしまうのです。


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