『映像県には手を出すな!』はアニメ化、実写化と次々にメディア展開しましたが、
やっぱり、原作が読んでいて、据わりが良い感じがします。
今回の新刊は、シリーズの中でも特に“内面のドラマ”が際立ってました。
浅草さんが、「創作の自由」と「社会との関わり」という、
クリエイターになりたい人なら、誰もが避けて通れないテーマに向き合っているからです。
社会との接点を断ち、好きなことだけをして暮らす人々が集まる“魔窟”
創作に没頭し、社会に背を向ける、若者達の憧れる自由な世界、
浅草さんはその自由を羨むではなく、
「自由には魔力がある」と評し、
責任も摩擦もない世界に長くいれば、
いつか外に出たときに“子どものまま”で社会と向き合うことになる。
その危うさを、直感的に「物語」へと変換していきます。
興味深いのは、浅草さんが魔窟の住人たちを断罪しないところ。
「社会に出ろ」と迫るでも、「このままでいい」と肯定もせず。
“いつか外に出るときのために、どうすればいいか”
を我がこととして捉え、考え、魔窟の主と対峙する。
この柔軟さと引き様さが、浅草さんの本質であり、
同時に彼女が“創作者としての自覚”を持ち始めた証でもあります。
今回、浅草さんは、自分の世界、他者の世界、社会という大きな枠組み
これらを同時に見つめ始めることで、自らがクリエイターとして、
社会に向けて何を発信するのかを自覚していきますが、
この気づきに向けてのストーリー展開が、鳥肌ものでした。
浅草みどりというキャラクターの核が、確実に変わり始める瞬間が描かれています。
創作が好きな人、自分の世界を大切にしている人、社会との距離感に悩んだことがある人なら、
胸に響くものがきっとあるはずです。

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