『ちょっとだけ』に見る子ども感


『ちょっとだけ』という絵本があります。
お姉さんになった女の子が、赤ちゃんの世話で忙しいお母さんの手を煩わせないために、
いろいろな物事に一人で挑戦して、「ちょっとだけ」できるけれど、
やっぱり甘えたいから最後に「ちょっとだけ」でいいからだっこしてもらおうとする、
お母さんは、そんな彼女をきちんと見ていたからこそ、このお願いに
「いっぱいだっこしたいんですけど、いいですか?」と答える。

もう、2人目、3人目の小さいお子さんをお持ちのお母さん、お父さんなら、
ぐっとくること間違いなしの展開となっています。

この本に登場する主人公「なっちゃん」はとにかくよい子に描かれていて、
我慢することが当たり前の子どのように描かれています。

けれども、実際の子育てを振り返ってみると、
そんなことはない・・・

僕も2児の父ですが、下の子が生まれたとき、
我が娘は、たまに「なっちゃん」のように我慢強い姿を見せると思うと、
次の瞬間には、やっぱりお母さんに構って欲しくてワガママ大王になって見せたり・・・

「お父さんでいいじゃん、」って言っても3回に1回くらいは、
ダメだったのを思い出します。

子ども達の感情の爆発は、あって然るべきものだし、それを受け止めた上で、
どう育てていくのが子育て、

この絵本には、子育ての良い一面が描かれているけれども、
その後ろにあるお母さんの大変さや子どもの我慢できない感情は描かれていない訳です。

けど、それで良いのです。

絵本の中で描かれるのは、現実ではないのですから、
現実の中の美しい部分や、記憶に残りやすい部分が、描かれていれば、
それは多くの人の共感を呼ぶのです。

だって、現実の子育ての大変さはお父さん、お母さんならばきっとみんな経験しているはずなのですから・・・

この絵本に登場する「なっちゃん」は、
親御さんにとっては、「こうあって欲しい子どもの理想像」であり、
子どもにとっては、「我慢して成長した自分を投影した姿」なのではないか、
最近になって、そんなことを考えるようになりました。


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