初めての絵本をどう選ぶのか(その3)


お笑い業界の専門用語に「天丼」という言葉があるのをご存じでしょうか?

同じボケやギャグを繰り返して使うことで笑いをとったり、
他者のボケにかぶせるように同じギャグを重ねる手法のことなのですが、
有名なところだと2019年にM-1グランプリで優勝したミルクボーイさんのコーンフレークのネタなどは、
「それはコーンフレークやろ」「ほなコーンフレークちゃうか、」と、
コーンフレークという何でもない言葉を繰り返していくことで、
笑いの大きさが増していくという内容でした。

なぜ、こんな話をしているかというと、
子どもの絵本にもこの「天丼」という手法が使われていて、
子ども達は大好きという話がしたいからだったりします。

初めての絵本をどう選ぶのか、について2回ほどふれ、
その中でご紹介した本をいくつか並べてみました。

どの本も繰り返しの構成から成り立っている絵本だ
ということが、わかります。
『いないいないばあ』は、

動物たちが隠れているところから、ページをめくると動物達が顔を見せてくれる。

『やさいさん』も葉っぱを見てなんの野菜かな?と呼びかけたあと「すっぽーん」と野菜が畑から飛び出してくる。
などなど、乳幼児向けの絵本には、繰り返しの構成になっているものが多く見受けられます。

絵本専門士講座の講師であり、鳴門教育大学の佐々木宏子先生が、
子ども達が『いないいないばあ』を楽しむ姿を講義の中で紹介してくださったのですが、
子ども達がページを捲るごとに、お母さんの顔を見て何事かを訴えている姿は、
子どもなりに絵本の展開を予想して、予想通りだったことを母親と共有し喜んでいると、解説されていました。

子ども達は、小さな発見や喜びを親と共有することに幸せを感じるのは、
僕自身も体験的に学んでおり、納得のいくお話です。

繰り返し続けることによって、笑いが大きくなる「天丼」の仕組みは、
子どもの頃からこのような先の展開を予測し、楽しむという体験の積み重ねから、
生まれているのかもしれません。


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