前回、「初めての絵本をどう選ぶのか」というタイトルで、
乳幼児の視力の成長と、絵本の絵の部分にクローズアップして
子どもに訴える絵本の仕組みについて僕なりの考えをおはなししました。
今回は、テキストの部分について考えてみたいと思います。
「絵本」というのは、絵と文章の組み合わせで成り立っているのですから、
絵と文章のどちらが重要かというのはどちらと一言で言えるものではないでしょう。
しかしながら、乳幼児に訴える文章って何だろう?、と
考えるとこれもまた、難しい話になってしまいます。
前回ご紹介したNPO法人ブックスタートのセレクトする絵本のリストを見てみると、
ちょっとヒントになるようなセレクトがされているように見えます。
例えば、『いないいないばあ』や『へっこぷっとたれた』、『ととけっこうよがあけた』
などのように、わらべ歌や赤ちゃん向けの手遊びがモチーフになっているものがセレクトされています。
これらの絵本のテキストに共通するのは「語感の心地よさ」
だったりします。
乳幼児に言葉の意味を尋ねてもわかるわけもないのは当たり前のこと、
であれば、大切なのは耳に入るときの声の心地よさです。
童歌が長い間歌い継がれていたのは、子ども達をあやすために効果があったからだと、
僕は考えています。
童歌や手遊び歌を知らない親御さんや子ども達が増えていることについては、
僕個人はとても、残念だとは思いますが、
童歌が歌われていた頃とは、子育てに関する環境が大きく変化したことが、
原因であって、時代の流れの中で、致し方のないことなのかなと、考えています。
近年では、そういう「語感」の良さを考慮して、
沢山の絵本が出版されています。
赤ちゃん絵本の大ヒット作である、
かがくいひろしさんの『だるまさんが』や
tupera tuperaさんの『やさいさん』、
柿木原政広さんの『ぽんちんぱん』、
などのように、
絵と言葉のリズム感が、見事に一致した例といえるのではないでしょうか。
そして、この絵と言葉のリズム感という話になったときに、
一番大切なのは、子ども達と絵本との間にそれを子ども達に読んで手渡す大人がいる、
ということです。
お父さん、お母さんが絵本を読んであげると言うことは、
子どもにとって、絵本を通して言葉を知るということだけではなく、
子ども達が成長の過程において、大切にされてきたと言うことを体験し、記憶する時間でもあるのです。
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