先日、松居直さんと、長新太さんの
『ぴかくんめをまわす』を紹介したところ、
その記事を見ていてくれたかたから、
『ぴかくんめをまわす』は、
元々は、『11ぴきのねこ』の
馬場のぼるさんが、描いていたのを知っていますか?
というお話しを頂戴し、全く知らなかったので、
調べてみたら、1960年4月発行のこどものとも49号で
馬場のぼるさんの『ぴかくんめをまわす』が発行されていました。
読んでみたかったので、調べてみたら、
ラッキーなことに古書を手に入れることができました。
今日、手元に届いたので、読み比べてみたのですが、
まぁ、当たり前ですが、テキストは一緒です。
絵が違うだけで、これだけ雰囲気が違うのかと驚かされるのは、
長さんの『ぴかくんめをまわす』は、信号機の「ぴかくん」が主人公であったのに比べて、
馬場さんの『ぴかくんめをまわす』は、自動車が急速に普及した街と、
そこに暮らす人々に視点が置かれており、
「ぴかくん」は絵の中では、あまり主人公的に描かれていません。
後表紙の後書きのようなところには、交通事故による幼児のけがが増加していること、
死亡事故も発生していること、が述べられており、
政治的に交通事故防止に取り組むべきアクションを起こすべきであり、
また、幼児には交通事故に気をつける「しつけ」をするべきであり、
この絵本も、しつけのてがかりになるはずだ、と述べられています。
好みもあるとは思いますが、
僕は、馬場のぼる版『ぴかくんめをまわす』では、
主人公である「ぴかくん」に焦点が当たっていないことと、
交通死亡事故が多発していた1960年代の空気感を引きずりすぎて、
現在まで残るような絵本にはなっていなかったのではないかと感じました。
思わぬところで、貴重な体験をすることができ、感謝、感謝です。
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