『おまえうまそうだな さよならウマソウ』 (ポプラ社) 2023年12月
宮西達也:作
今や定番絵本になった、宮西達也さんの
『おまえうまそうだな』が出版されたのは2003年のことでした。
その頃僕は、働きながら司書資格を取ろうとしていました。
司書資格を取得し、図書館へ異動となり、
『おまえうまそうだな』が描く、
子どもの成長のために自らが犠牲になることを厭わない
ティラノサウルスの父親像に共感しました。
父親として、かくありたいと、
ところが、当時、図書館の児童奉仕担当者の間での
この絵本の評価は、あまり高くありませんでした。
曰く、大人の目線に寄る絵本で、子どもの絵本ではない、
そんな感じだったように記憶しています。
そんな大人の評価を気にすることもなく、
『おまえうまそうだな』は、子ども達に愛され続けて現在に立っています。
そして、20年たった今、ウマソウとティラノサウルスとの間に
新たな物語が生まれました。
20年間、子ども達に愛されてきた二人は、
絵本の世界でも、同じ時間を過ごしてきたようです。
ウマソウには、成長という物語、
ティラノサウルスには、老いという物語が、
それぞれ用意されています。
それは、あの頃子ども達に『おまえうまそうだな』を読んでいた
お父さん、お母さんが迎えているであろう、
子ども達の成長を見守り、次の段階へと進む、
その行き先がどこにあるのか、ちょっと立ち止まって、考えるためのヒントになるような絵本でした。
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