『おちゃのじかんにきたとら』の話


『おちゃのじかんにきたとら』という絵本があります。

1968年にイギリスで出版された絵本です。
日本では、1994年に童話館出版から出版されています。

作者のジュディス・カーはナチスの迫害を逃れ、
ドイツからスイス、フランスを経てイギリスにたどり着いて
絵本作家となった人物です。

そのときの体験を描いた
『ヒトラーにぬすまれたももいろうさぎ』(評論社)
(残念ながら絶版)
は、近年映画化もされています。

そんな、ロングセラーの絵本に思わぬニュースが飛び込んだのが、最近のこと、

ベストセラー絵本がDVやレイプを助長する という記事です。

記事の内容は、男性による女性への暴力の根絶を目指す慈善団体「ゼロ・トレランス」の代表がこの絵本が、

「女性や少女への暴力の原因となる男女間の不平等を助長している」と指摘した。Daily Mailなどが伝えている。

女性自身webサイトより

というのです。

???何のことやらさっぱりと混乱しながら記事を読むと

どうやら、子ども達をおびえさせるトラは、男性のイメージで描かれており、お父さんが帰ってきてカフェに連れて行くことで、物語がハッピーエンドになることも

古風でステレオタイプな固定観念を読む者に印象付ける

女性自身webサイトより

そして、こう続けるのです、

私は子どもたちに、そんなメッセージと共に成長してほしくはない。男性と女性は平等で、女性も男性と同じように強く、困難な状況から自分で抜け出すことができる、あるいは支援を受けることができる。その逆もまたしかりである、という考えで育ってほしいのです。

女性自身webbサイトより

確かに、1968年の男女の社会的な立場を2021年と比較することは難しいと思います。
しかし『おちゃのじかんにきたとら』が出版されたいとは、ジェンダー論を語るためではないと明確にいえるのではないでしょうか、
絵本を自分の進めている価値観と異なるという理由で、社会的に排除しようという行動は、
あまりにも、馬鹿馬鹿しいと僕は考えます。

絵本は、子ども達が楽しむためのものであって、
社会的な何かを考えたりするのは、成長した跡の副次的なものだと常々僕は考えていますし、
そもそも、『おちゃのじかんにきたとら』をやり玉に挙げてジャンダーについて子ども達や親御さんに対して声高に叫ぶよりも、
もっと効果的で優しいやり方は沢山あります。

今回の発言はイギリスでは一蹴されているようなので、少しほっとしましたが、
どうも最近、自らの主張を「正義」と思って突き進み、他の人の思いを考えていない人が増えている気がして、
不安でなりません。


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