「絵本を読むことは、誰かと世界を共有すること」講演を終えて


9月26日、幸手市立図書館で講演をさせていただきました。
雨の中にもかかわらず、たくさんの方が足を運んでくださいました。
参加された多くの方が、
図書館のおはなし会やボランティアとして活動されている方が多く、
「読み聞かせの現場を支えてきた人たち」に向けて話すことができたことが、
僕にとって大きな喜びでした。

図書館から、アンケートの集計結果を頂戴し、
いくつかの言葉が胸に残りました。

読み聞かせがこんなに楽しいとは。
「優しさの連鎖」という言葉が印象に残った。
読み手も楽しんでいいのだと思えた。
普段読まない絵本の紹介が嬉しかった。
おはなし会についての疑問に答えが見つかった。

長く読み手として活動してきた方の「迷い」と「確信」が滲んでいて、
僕自身も励まされる思いです。

今回の講演では、図書館のおはなし会のルールは大切だけれど、
それは「図書館という場所」でのルールであって、
絵本の読みの本質はもっと自由で、もっと人間的で、
もっとライブ感の溢れるものではないかいうことを
お話ししました。

ブックハウスカフェでの経験から、
初めて出会うお客さんと絵本を共有する難しさ、
読み手が楽しんでいる姿が場を変えていくこと、
声や間や呼吸が、その場の空気をつくっていくことを、
僕自身が学んできました。

そしてもうひとつ、
今回どうしても伝えたかったことがあります。

本は、図書館で借りれば良いというものではない。

図書館は「出会いの場」。
本屋は「選び取る場」。
家は「育てる場」。

子どもにとって、
お気に入りの絵本が家にあるということは、
ただの所有ではなく、
「自分の世界を持つ」という体験です。

そして、お父さん・お母さんと一緒に本屋に行き、
絵本を選び、買ってもらうという行為は、
ただの買い物ではありません。

それは、大人が自分のために時間とお金を使ってくれたという体験であり、
その体験は、子どもが大人になったとき、
誰かに優しさを返す力になります。

つまり、絵本を買うという行為は、
未来への贈り物――ペイ・フォワードなのです。

そして、ボランティアとして絵本を読むという行為もまた、
親が子どもに渡すはずだった“時間”を代わりに渡す行為であり、
未来の誰かを優しくする営みだと、
アンケートの言葉を読みながら改めて感じました。

講演を終えて、「また聞きたい」「シリーズ化してほしい」という声もいただき、
読み手としての経験を、これからも丁寧に言葉にしていきたいと思っています。

絵本を読むことは、誰かと世界を共有すること。
その体験が、今日もどこかで、誰かの未来へと受け渡されていきますように。


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