『たぬきの花よめ道中』(岩崎書店)2018年3月
最上一平:作 町田尚子:絵
タイトルのとおり、
花嫁として嫁いでいく、狸の娘さんの
花婿の住む街までの道中を描いた絵本です。
楽しいのは、そのシチュエーション、
自然豊かな山の中で暮らす狸の娘さんの嫁ぐ先は、
自然が少なく、人間が大勢いる「僻地」である「大都会」というのです。
この、逆転の発想だけでもちょっとニヤニヤしちゃいますけど、
とにかく、このあとの狸のご一行が、都会に向けて出発するのですが、
そこには、カルチャーギャップの連続が待ち受けています。
狸たちの驚く姿も楽しいのですが、
そんな僻地である、大都会にわざわざ嫁ぐ娘狸に子狸がなぜこんなところに嫁ぐのかを尋ねたときに
「だって、すきになったんだもの」
という、台詞の一言が印象的です。
子ども達にはもちろん、大人向けのおはなし会でも、
楽しんでもらえる作品です。
とくに、終盤に民謡「長持唄」をモデルにした謡のパートがあるのですが、
情感たっぷりに歌い上げたいところです。
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