『うしかたやまんば』 (小学館)2009年7月
千葉幹夫:文 スズキコージ :絵
日本の昔話には怪異譚がたくさんあります。
人がその道中に人ならぬものをとであったことを
きっかけにして、窮地に陥り、
知恵を持ってその窮地を脱する。
怪異の代表的なものは、
鬼であったり、今回の山姥だったりします。
今回ご紹介する『うしかたやまんば』には、
『うまかたやまんば』という類話がありますが、
どうもこの牛と馬の差は、
江戸時代に使われていた農耕、運搬用の動物は
西日本では牛が、東日本では馬が使用されていることが
多かったことに起因するようです。
とすると山姥に襲われるという話は、
日本全国にあったのだと言うことが分かります。
当時は、長距離の商品運搬には、
かなりの危険が伴っていたのでしょう。
スズキコージさんの描く山姥は、とにかくおどろおどろしく、
人とは異なるものであることがうかがえます。
商品の塩鯖も運搬手段の牛も、徐々に山姥に食べられ、失っていく主人公、
スピード感のある物語が子ども達を引きつけます。
二つの絵本を並べて読んでみても、面白いかもしれません。
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