おしいれのぼうけんの時代感

,

『おしいれのぼうけん』(童心社)1974年11月
古田足日・田畑誠一:作

1974年の作品ですから、
もう50年近くも版を重ねているロングセラーです。

タイトルにあるように、保育園の押し入れに閉じ込められたことから始まる、
男の子の冒険譚は、多くの世代に読まれている名作です。

先日、この絵本について、保育士さんから、お話を聞く機会があったのですが、
子どもを押し入れに閉じ込める描写が虐待と捉えられることから、
保育所での使用は控えているというお話でした。

なるほど、確かにそうですよね、
まぁ、押し入れがある保育所も随分と減りましたし、
子育て、躾に関する考え方も随分と変わってきています。
このような描写には、そういう評価だってあるでしょう。

しかしながら、この絵本の本質は、子ども達が異界での冒険を経て、
自らの持つ課題に気づき、成長する物語であるという点です。

この絵本の持つ時代性によって、評価が変わるというのは、
少々残念な気もしますが、これもまた仕方のないことだと僕は考えています。

長く絵本が出版され続けていることで、
同じテーマを扱った絵本は、多く出版されていますし、
選択肢が多いことは、良いことだと思います。

世の中が変わり、ものの評価が変わるのは、よくあることです。
しかし、その時代にあった評価を行うのは、大人の仕事ですから、
子ども達になにを、どの様に手渡すことが、ベストなのか、
よく話し合い、考えていきたい者です。


コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

CAPTCHA


PAGE TOP