ぼくにはひみつがあります


『ぼくにはひみつがあります』(主婦の友社)2023年2月
羽仁進:作 堀内誠一:絵

映画監督の羽仁進さんと言っても、
もうご存じの方は少ないかもしれませんね、
一時期は、TBSの「世界・ふしぎ発見!」の回答者で
黒柳徹子と一緒に座っていたりしたのですが、
最近は、すっかりメディアでお顔を見る機会が減りました。

そんな、羽仁進さんが『ぐるんぱのようちえん』などの
作品で知られる、堀内誠一さんと1973年に出版した絵本が、
今回、50年の時を経て、復刊となりました。

この作品、最初から少年が子犬を拾ってきたけれども
アパートでは飼えないからと大人に連れて行かれてしまうという、

現代の子ども達には、ちょっと考えられないようなショッキングな描写から始まるのです。
おそらく、現代の子ども達には、捨て犬を街中で見る機会もぐっと減っているでしょうし、
その犬を隠れて飼おうという経験も中々出来ないでしょう。

そして、主人公の男の子は、アパートの階段に棲んでいたムササビを
大人達にばれないように保護し、育てようとします。
やがてムササビには、4ひきの子どもが生まれて、
大人達にばれないようにムササビを育てる男の子のドキドキと、
担任の先生の優しさの物語です。

50年前の物語ですから、ストーリー展開が
今の子ども達にはちょっとわかりにくいところもあるかもしれません。
けれども、この物語は、優しさと見守るという二つの要素で成り立つ物語であり、
見守るという行為は、現代の子ども達にとっても最も必要とされる要素でもあります。
大人達が、この絵本を子ども達に読むことで、
君たちにもきっと見守ってくれている存在がいるから、大丈夫だよ、
そう呼びかけてほしいものです。


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