『スリー 3ぼんあしのしあわせなイヌのおはなし』(イマジネイションプラス)2021年12月
スティーヴン・マイケル・キング:作 神野三鈴:訳
表紙から見て分かるとおり、
この絵本の主人公「スリー」は、三本足のイヌです。
街中を歩き、気ままに過ごすスリーは、
他の動物たちと何も変わりません。
4本足の馬、6本足のアリ、8本足の蜘蛛等々、
様々な動物たちが暮らす世界は多様性に満ちています。
「スリー」の生活は、気ままで楽しそうです。
そんな、スリーがたどり着いた居場所は、
新たな家族と、新たな環境でした。
なぜ、スリーは3本足だったのか?
その事実は、この絵本の中で直接語られることはありません。
それが、この絵本の効果を高めています。
3本足のスリーの存在があたりまえに溶け込んでいる社会だということ、
ともすれば、ノラ犬のうえに三本足と、疎まれる存在になりかねないスリーが、
自由に街を出歩き、自らの意思で居場所を探すというストーリーは、
僕たちにとって、目指すべき社会を提示しているとも考えられます。
とはいえ、本来であれば、スリーのような犬が生まれない社会を作ることを
目指すべきなのでしょう。
子ども達といっしょに読みながら、それぞれに何が出来るのか、
話し合いたい、そんな絵本です。
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