いっしょにおいでよ


『いっしょにおいでよ』(廣済堂あかつき)2018年4月
ホリー・M・マギー:文 パスカル・ルメートル:絵 なかがわちひろ:訳

この絵本が出版された頃、
アメリカの大統領だったトランプさんは、アメリカファーストを掲げ、
自国の発展のためには、他国が犠牲になることを是として、
支持を集めていました。

アメリカ以外の国々も同じように、自国の利益を優先させる動きを広げ、
テロ、紛争は無くなることはなく、結果として現在のウクライナのような状況が生じています。
戦争というものが、こんなに簡単に起きるなんて、
僕たちは、考えもしなかった。

民族、宗教、さまざまな文化、感情の衝突が続く社会を
TVから流れるニュースを見て「怖い」と思うのは、自然なことだと言えるでしょう。

大人だって先行きに不安を感じるわけですから、
子ども達が抱える不安に答えるにはどうしたら良いか、悩むところです。
この絵本の中で、主人公の両親は、不安を取り除く方法として、
街中を歩くことを勧めます。

アメリカの街並みは多くの人種、さまざまな宗教観を持つ人たちで構成されているわけですから、
その街並みを歩くことで、他者への思い、気遣いを体験的に学んでいくということは、
有効だと思いますし、その街中で、フラットに同じ人間として他者と接するという
一見シンプルですが、実際にはとても難しいことを主人公は体験として学んでいきます。

大人になると、いろいろな知識が蓄積され、結果として、
それが「色眼鏡」になってしまうというのは、悲しいことですが、
誰しもがとっている行動、
だからこそ、この絵本のようにシンプルに他者を気遣い、同じ歩調で歩くことが、
重要だということを意識して生活していくべきなのかなと、考えたりします。


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