『みえるとか みえないとか』(アリス館)2018年7月
ヨシタケシンスケ,伊藤亜紗:作
僕たちは、生きていく中で多くの「違い」に遭遇して、
時にその違いに悩むことがあります。
背が高い、背が低い、とか、
日本語と英語、とか・・・
大体の場合、個人差や住んでいるところの差という解釈で、
その問題をクリアしようとするのですが、
こと「障がい」の分野になると、
ちょっと身構える人が多いのは事実ではないでしょうか。
さらに、子ども達に障がいについて伝えようとするとき、
大体の親御さんは、悩んでしまうことも多いでしょう。
この本は、ある宇宙飛行士の物語です。
たどり着いた星は、目が三つある人の星、
目が前に二つしかついていない宇宙飛行士は、
後ろが見えないなんて、かわいそう、不便じゃないの?
と心配されます。
それぞれの人に身体的な差異があり、
他者から見た差異は、本人にとっては、
差異として認識されていないので、戸惑いになる、
というのは、ちょっと考えると理解できることです。
僕たちは「障がい=不便」という目で見てしまいがちですが、
大切なのは、差は差として認識したうえで、
どうやって一緒に暮らすかを考えなければいけないのに、
なぜか、差を埋めようとする方向に気持ちが働いてしまいます。
この絵本は、そんな考え方をちょっと変えてみるきっかけにあふれています。
ヨシタケシンスケさんという人は、
ちょっと難しい問題を何かに例えることで、
旨いこと、子ども達に伝えてくれているので、
こちらとしては、感心するしかないです。
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