ホタルの光をつなぐもの


『ホタルの光をつなぐもの』(福音館書店)2022年7月
福岡伸一:文 五十嵐大介:絵

福音館の月間絵本「こどものとも」シリーズの
高学年向け科学絵本、たくさんのふしぎ、
2022年7月号がこの絵本でした。

文章は、生物学者の福岡伸一さん、
『ライフタイム』や『ダーウィンの「種の起源」: はじめての進化論』など、
科学絵本の翻訳を手がけており、
子どもに向けての科学啓発を精力的に行っている科学者です。

そして、絵を手がけるのは、五十嵐大介さん、『海獣の子供』や『SARU』などで人気の漫画家で、
その作品は、ルーブル美術館の企画展でも展示されたことのあるかたです。

その二人が、月刊絵本に作品を寄せるなんて、なんと豪華なことでしょう。

作品は、蛍の生息環境がどのようなものなのか、
なぜ、蛍は僕たちの前から姿を消したのか、
そして、自然がやがて自らの力で、
蛍の生息環境を取り戻すであろうことと、
人の力は、一時的に環境を改変する能力を持ったとしても、
あくまで一時的なものでしかなく、
自然の大きな力にあらがうことはできないであろうと、
遙か先の未来の話で終わっていきます。

地球温暖化、海水の酸性化、等々、
これまで人が行ってきたことが、地球に与えた影響が、
私たちの生活を脅かす可能性が高まっています。
環境をまもろうという活動はありますが、
それもまた「人が暮らす」ための環境をまもろうというものであり、
自然本来の力を取り戻すには遠く及ばないのかもしれません。

とはいえ、僕たちにも日々の暮らしや、
子ども達の未来があるわけですから、
これらの課題に折り合いを付けて、
生きていかなければいけない、
そう考えさせられる一冊です。

読後に家族でよく話し合ってみたい、
そんな絵本です。


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