絵本専門士としてのこれから、


この土日の二日間、
サトシンさんに埼玉に来ていただいて、
講演していただいたのは、
以前に書いたとおりなのですが、

では、なぜサトシンさんだったのか、
という話を少し、

今から10年以上前の話です。
僕が、公共図書館で司書をしていた頃、定期的に県内の児童奉仕担当者を対象にした研修会があり、
そういう会場には必ず、「重鎮」というようなポジションの方がいらっしゃいました。

ある日、その「重鎮」の一人にサトシンさんの『うんこ!』だったり、
『わたしはあかねこ』について、こう言われたのです。

『そんな本は図書館に無くて良い』

この発言を僕はずっと疑問に思っていました。
発言の意図としては「下品」「意味が無い」というような趣旨の発言だったと記憶していますが、
子ども達が好んで読む本を排除する公共図書館の姿勢というのはいかがなものだろうかと、考えていました。

結果として、僕は公共図書館から異動となり、図書館の外側から、子ども達と絵本、大人の関係を眺める立場になりましたが、
やはり、図書館が子ども達の居場所になるべきだとの思いは変わっていないし、
居場所になるべきなのであれば、子ども達に寄り添う選書、コレクションというのは必要だと思うのです。

いわゆる「良書主義」というものには、ある程度必要性を感じますが、
良書の選定基準が、旧態依然としているから、
子ども達の置かれている社会環境と乖離し始めている、そう思うのです。
大人の都合の良い「子ども像」に合わせた蔵書では無く、
子どもに寄り添い、真の子ども像を捉え、
子ども達の発信するメッセージを拾い、
大人に向けて発信していくことも、今後、公共図書館に求められる役割になる、
僕はそう考えています。

なので、僕は絵本専門士として、これからも子ども達の現在地を知り、
寄り添いながら絵本を読んでいきたいです。


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