『ユキエとくま』(工学図書)2023年5月
アリーチェ・ケッレル:文 はせがわまき:絵 関口英子:訳
アイヌの口承文芸、ユーカラを収集し、
『アイヌ神謡集』を出版した、
わずか19歳でこの世を去った、
知里幸恵を描いた絵本、
『アイヌ神謡集』は知らなくても、
「銀のしずく ふるふる まわりに 金のしずく ふるふる まわりに」
と言うフレーズは、聞いたことがあるというかたもいるのではないでしょうか。
絵本というよりは、絵物語という感覚で、
幸恵の生涯が、描かれています。
幸恵の過ごした、明治後期から、大正の頃、
アイヌであるということは、
差別の対象になるということでした。
そんな、差別を乗り越えて、
自らのルーツであるアイヌの叙事詩、
ユーカラを収集し、日本語に書き起こすことで、
アイヌ伝統文化の復権への転機となったと言われています。
近年、アイヌ文化に対する理解と再評価がなされる中、
知里幸恵についても再評価がなされているところです。
この絵本からは、北海道の自然の中で、
アイヌの文化を継承し、吸収していく様が描かれており、
差別のさなかにありながらもアイヌの文化を広めることで、
人間としての差が無いことを訴えようとしたのかもしれません。
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