僕たちはいつもどこかにいて、何かをしています。
たとえ何もしていなくても、
それは「何もしていない」ということをしているのです。
僕たちは、必ずどこかにいますから、
世の中にはそのための「居場所」が必要になるのです。
詩人で小説家でもある最果タヒさんの詩と、
100%ORANGEの一人、及川賢治さんのイラストによる
絵本『ここは』は、
ひとりの男の子がお母さんの膝の上から、
想像を飛ばし、自分の世界を押し広げていく絵本です。
お母さんの膝の上は、
街の一部であったり、
空の下であったりするわけです。
人には、一人に一人に居場所が用意されていて、
その場所に存在することは、誰かに否定されるものでは決してありません。
そして、一人一人の居場所は、必ず何かに繋がっていて、誰かに繋がっている、
だからこそ、私たちは「社会」という仕組みの中で、日々を送っているのです。
一人でもあり、大勢でもある、モザイク画やパズルのように様々な人の組み合わせで
世界が動いているのであれば、他者を否定することや、孤独を求めることは、
必ずしも最適解ではない、そう考えさせられる一冊です。
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