でてきておひさま


『でてきておひさま』(福音館書店)2004年11月
堀内路子:再話 堀内誠一:絵

1984年2月に福音館書店野月刊絵本「こどものとも」で出板された本作、
堀内誠一さんと言えば、
『ぐるんぱのようちえん』
『たろうのでかけ』
『てつたくんのじどうしゃ』 などなど、

日本の絵本の草創期に、活躍された絵本作家さんです。
ハードカバーの作品は長く絶版でしたが、
2022年6月号のこどものとも年中向きにて復刊しているので、
手に取るチャンスです。


空が雲に覆われて、お日様が3日も顔を出さない、心配になったひよこたちは、お日様を探しに旅に出ます。
道々出会った動物たちがひよこを助けて、お日様の元にたどり着くと、
お日様は、雲のおかげで顔が真っ黒、みんなでお日様を大掃除するという、冒険譚となっています。

この作品、なにしろ、ひよこたちが前向きです。
雌鶏がお日様の居場所に宛はあるのか尋ねると、

「しらないよ あったひとに きいていくよ」

と、あまり気にしない様子、絵本の草創期らしい、おおらかなストーリー展開です。
今だったら、当てもなく出かけていくひよこをいさめない雌鶏が非難されたり、
道で出会う動物たちに「初対面なのに大丈夫なのか?」などと、心配したりしかねません。

けれども、お話しの中なのですから、子ども達はこのくらい元気に外の世界を旅する方が良いのです。
お話しの中の冒険譚が、やがて子ども達の成長の物語に重なっていくのですから、
多少の無茶や無謀がないと、子ども達だってドキドキしません。

ぜひ、親子でドキドキを共有して欲しいものです。


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