『つきのこうえん』(パイ インターナショナル)2023年5月
竹下文子:文 島野雫:絵
子どもが喜ぶ物語のひとつの形態として「行きて帰りし物語」という
構造上のパターンがあると指摘したのは、瀬田貞二さんでした。
『かいじゅうたちのいるところ』や
『めっきらもっきらどおんどおん』のように、
主人公は、異界に足を踏み入れ、
その中で自らが新たな経験を重ねることで、
新たな視点を得、成長して帰って来るという物語です。
今回紹介する『つきのこうえん』は、まさにこの「行きて帰りし物語」を
現代の子ども達に落とし込んだ物語といえるでしょう。
お母さんに絵本を読んでもらえないまま、一人で眠ってしまった女の子、
相棒の猫が誘う先には、満月と男の子、
夜の公園で様々な体験をします。
そして、目が覚めると・・・という物語、
竹下文子さんの文は、どこまでも優しいですし、
島野雫さんが描く夜の公園で遊ぶ子ども達は、楽しげです。
お父さん、お母さんに取っては、子ども達の成長の場が、
現実の世界だけでは無いことを知るヒントになるかもしれません。
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