職場で人事異動があるたびに、小さい子のいるお父さんやお母さんと一緒に仕事をすることになる。
すると、どうしても何かの折に絵本を買って渡したくなってしまう。
ゴールデンウィークや夏休み。
病気でしばらく保育所に行けなかったとき。
お迎えの時間が早まって、仕事を切り上げなければならなくなったとき。
そんな場面に出会うと、親御さんが抱える「ちょっと申し訳ないな」という気持ちが、痛いほどわかる。
そして同時に、熱があって不安な中で保育所でお迎えを待つ子ども達の気持ちを思うと、
「よくがんばったね」と、そっと褒めてあげたくなる。
我が子が大きくなったから、というだけではない。
やっぱり、仕事をしながら子育てをしている人を見ると、自然と頭が下がる。
子どもを“ちゃんと自分の子として見ている”という姿勢に触れると、応援したくなる。
けれども、世の中全体がそういう親を支える環境になっているかと言えば、まだまだ道半ばだと思う。
多分、子育てというものの価値観が、どこかで変わってしまったからだろう。
それでも、いまの多くのお父さん、お母さんは、驚くほど真剣に我が子に向き合っている。
忙しい日々の中で、時間をやりくりしながら、子どもの「今日」をちゃんと受け止めている。
そういう人がいる限り、先輩お父さんとしては、やっぱり応援を続けたい。
絵本を一冊そっと手渡すことが、ほんの小さなことであっても、誰かの「子育てしていてよかった」という気持ちにつながるなら、それで十分だと思う。
子育ては、社会の中でいちばん静かで、いちばん大切な営みだ。
その静かな営みを支える人たちに、これからもそっとエールを送り続けたい。
そして――
そんなわけで、僕の職場には「孫」がどんどん増えていく。
もちろん血のつながりなんてないけれど、誰かの子どもが元気に育っていく姿を想像するだけで、ちょっと嬉しくなる。
それは、僕だけの小さな楽しみでもある。

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