絵本の仕掛けに気付いた高校生たちと過ごした時間


昨日、おやすみを頂戴して、埼玉県高等学校家庭科クラブ連盟の講習会に講師として参加してきました。

大人になったから、わかる絵本の読み方的なものをお話しして欲しいとのリクエストだったので、
『かいじゅうたちのいるところ』をテーマに、
絵本の中の時間軸、主人公の心理が絵本にどのように描写されているのか、
そんな感じの話をしてきました。

意外だったのは、
『かいじゅうたちのいるところ』を読んだことがない生徒が多かったこと。
けれど、それはむしろ良い方向に働いて、
“初めて出会う物語”を一緒に開いていける時間になりました。

『かいじゅうたちのいるところ』を読み終わった後、
絵本の中の描写についてお話をしていると、
皆さん興味を持ってくれたようで。
絵本の構造や作者の意図に耳を傾ける姿勢がぐっと深まっていきました。
「絵本って、こんなふうに読めるんだ」
そんな表情がいくつも見えました。

絵本の仕掛けに触れた瞬間、
ただの読み物だったものが、
「自分につながる物語」へと変わる。
その変化を、目の前で感じられたことが嬉しかったです。

「絵本の世界は現実と切り離されたファンタジーではなく、
 むしろ現実の心の動きをそのまま写し取ったもの」
センダックの言葉を引用しつつ「行きて帰りし物語」の構造について解説したところ、
自らに重ね合わせ、考えているような姿も垣間見えたのは幸せな時間でありました。
彼らはもう、保育園・幼稚園・小学校・中学校・高校と、
毎日“行きて帰りし物語”を生きてきた子ども時代を終え、
少しずつ“見守る側”へと役割を変えつつある年齢です。

だからこそ、
絵本の構造が自分の生活とつながっていることに、
自然と共感できたのかもしれません。

最後の一文、「まだ ほかほかと あたたかかった」。

あの言葉は、子ども時代を終えようとしている高校生たちにとって、
そして、かつて子どもだった私たち大人にとっても、
そっと背中を押してくれるメッセージです。

昨日の講座が、彼らの心のどこかに
小さな灯りのように残ってくれていたらいいな。


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